続、カズオミの憂鬱
ここで、私がカズオミのお父さんとの会話の中で印象に残っている会話がありますので、それを披露したいと思います。
が、続きは次回へ・・・のつづきです。
数年前の事です。
当店から30数年前お仏壇を購入されたお客様から、塗りなおしの依頼を受けた時の話です。
そのお仏壇についている金具を一つ残らず取り外し入部さんの作業場に持っていきました。
[回想シーン]
私、「この金具外しよったらひん曲がったけん、叩いてのばしてもらえるやろか?」
入部さん、「あぁ。」おもむろに金具の一つに手を伸ばし、
「これは、親父がうった金具やね。」
私、 「わかると?」「なんで?」・・当然そんな事を事前に話していません。・・
入部さん、 「わかるばい。」
「これは、あにきが打っとる。これは親父。これは、あにき・・・」
・・手に取るや次々と言い当てます。私にはまったく同じ金具にしか見えません。・・
「おれが打っとる金具のなかけん、30年くらい前んとやろぅ。」
私、 「まるで、同じ図柄やね、どうして判ると?」
入部さん 「くせのあるとたい・・」
私、 「親父さんが作ったという事を言い当てただけでもすごかつに、年数まで言い当てられると は脱帽やね。」
そういった会話をした事があります。
私はそれまで正直、手打ち金具はうすっぺらで、柄がゆがんでたりとか、ビミョウに不揃いだとか、あまりよくは思っていませんでした。
厚いプレス金具に取り替えてやったほうがお客さんも喜ぶだろうと思い込んでいました。
しかしそんな会話の後、手造りの品には小さな部品ひとつにも多くのストーリーや作り手の歴史が隠されているって事に気づかされました。
ちょっと感動し自分の仕事にちょっと自信を持った出来事でした。
が、続きは次回へ・・・のつづきです。
数年前の事です。
当店から30数年前お仏壇を購入されたお客様から、塗りなおしの依頼を受けた時の話です。
そのお仏壇についている金具を一つ残らず取り外し入部さんの作業場に持っていきました。
[回想シーン]
私、「この金具外しよったらひん曲がったけん、叩いてのばしてもらえるやろか?」
入部さん、「あぁ。」おもむろに金具の一つに手を伸ばし、
「これは、親父がうった金具やね。」
私、 「わかると?」「なんで?」・・当然そんな事を事前に話していません。・・
入部さん、 「わかるばい。」
「これは、あにきが打っとる。これは親父。これは、あにき・・・」
・・手に取るや次々と言い当てます。私にはまったく同じ金具にしか見えません。・・
「おれが打っとる金具のなかけん、30年くらい前んとやろぅ。」
私、 「まるで、同じ図柄やね、どうして判ると?」
入部さん 「くせのあるとたい・・」
私、 「親父さんが作ったという事を言い当てただけでもすごかつに、年数まで言い当てられると は脱帽やね。」
そういった会話をした事があります。
私はそれまで正直、手打ち金具はうすっぺらで、柄がゆがんでたりとか、ビミョウに不揃いだとか、あまりよくは思っていませんでした。
厚いプレス金具に取り替えてやったほうがお客さんも喜ぶだろうと思い込んでいました。
しかしそんな会話の後、手造りの品には小さな部品ひとつにも多くのストーリーや作り手の歴史が隠されているって事に気づかされました。
ちょっと感動し自分の仕事にちょっと自信を持った出来事でした。
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カズオミの憂鬱
先日の金具の話にお付き合いいただきまして有難うございます。
前回は金メッキの話でしたが、今回は金メッキをする前の金具が出来るまでのお話です。
当店は、手打ち金具職人の入部さんとお付き合いをさせていただいています。
そこの跡継ぎの「カズオミ」が金具の採寸にやって来ました。

ご覧のように実寸を型紙にうつし、それを元にタガネで彫金細工を施すのが「金具師」の仕事です。

八女の職人では若い部類にはいる「カズオミ」です。
ちなみに、カズオミの父親も現役の金具師で、叔父さんも現役の金具師です。
おじいさんも金具師だったと聞いています。
金具師の一族ですね。
金具師は、一枚の銅版に型紙から型を起こして、それを何種類ものタガネで模様を彫りこんで金具に仕上げてゆきます。木地に合わせて型を起こすので寸分違わぬ金具が作られます。八女の仏壇のどのジャンルの仕事でもそうですが、作り置きできるものではありません。

一度木槌を振り下ろせば次々に模様をかもし出し、徐々に完成してゆくその光景は、傍からずっと見ていても飽きるものではありません。
ただ失敗した場合、その金具はやり直しが利くものではなく廃棄されます。
ずっと、何時間も作業台の前に鎮座し、タガネと木槌で彫金する仕事をするにはかなりの集中力が要求されます。
ここで、私がカズオミのお父さんとの会話の中で印象に残っている会話がありますので、それを披露したいと思います。
が、続きは次回へ・・・
前回は金メッキの話でしたが、今回は金メッキをする前の金具が出来るまでのお話です。
当店は、手打ち金具職人の入部さんとお付き合いをさせていただいています。
そこの跡継ぎの「カズオミ」が金具の採寸にやって来ました。

ご覧のように実寸を型紙にうつし、それを元にタガネで彫金細工を施すのが「金具師」の仕事です。

八女の職人では若い部類にはいる「カズオミ」です。
ちなみに、カズオミの父親も現役の金具師で、叔父さんも現役の金具師です。
おじいさんも金具師だったと聞いています。
金具師の一族ですね。
金具師は、一枚の銅版に型紙から型を起こして、それを何種類ものタガネで模様を彫りこんで金具に仕上げてゆきます。木地に合わせて型を起こすので寸分違わぬ金具が作られます。八女の仏壇のどのジャンルの仕事でもそうですが、作り置きできるものではありません。

一度木槌を振り下ろせば次々に模様をかもし出し、徐々に完成してゆくその光景は、傍からずっと見ていても飽きるものではありません。
ただ失敗した場合、その金具はやり直しが利くものではなく廃棄されます。
ずっと、何時間も作業台の前に鎮座し、タガネと木槌で彫金する仕事をするにはかなりの集中力が要求されます。
ここで、私がカズオミのお父さんとの会話の中で印象に残っている会話がありますので、それを披露したいと思います。
が、続きは次回へ・・・
続・金具の話
ところが、この無敵に思われる金メッキにも弱点があります。それは・・・・次号へつづく。
前号の続きです。
金具の金メッキをするうえで、重要なのが下地処理(酸洗い)だといわれています。いわゆる、油分、水分などが残っているとメッキがうまくのらないということです。人が素手で触れただけで油分がくっきり残ります。(以前、指紋?掌紋?らしい柄が入った金メッキ金具を見たことがあります。)
だから、下地処理にはかなり強い酸性の薬物を使用するとも・・・
金属の表面を電子顕微鏡で見てみると「す穴」とよばれるあなぼこだらけだとか、その穴ぼこに微量残留した強酸性の薬物が長い年月(十数年~数十年)でメッキの表面にしみだしサビをつくる原因になることがあります。というのが最大の欠点です。
その欠点は改善することが困難らしく、今後の課題といわれています。
当店では、すすぬきや塗りなおしなどを行う時、金メッキ直しもお勧めしています。金メッキ製品も数十年に一度はメッキ直しをした方がよいということです。
堤様

その金具を同じくメッキした鋲で取り付けます。

金具打ちが終了した部品です。
あとは、組み立てに入ります。
前号の続きです。
金具の金メッキをするうえで、重要なのが下地処理(酸洗い)だといわれています。いわゆる、油分、水分などが残っているとメッキがうまくのらないということです。人が素手で触れただけで油分がくっきり残ります。(以前、指紋?掌紋?らしい柄が入った金メッキ金具を見たことがあります。)
だから、下地処理にはかなり強い酸性の薬物を使用するとも・・・
金属の表面を電子顕微鏡で見てみると「す穴」とよばれるあなぼこだらけだとか、その穴ぼこに微量残留した強酸性の薬物が長い年月(十数年~数十年)でメッキの表面にしみだしサビをつくる原因になることがあります。というのが最大の欠点です。
その欠点は改善することが困難らしく、今後の課題といわれています。
当店では、すすぬきや塗りなおしなどを行う時、金メッキ直しもお勧めしています。金メッキ製品も数十年に一度はメッキ直しをした方がよいということです。
堤様

その金具を同じくメッキした鋲で取り付けます。

金具打ちが終了した部品です。
あとは、組み立てに入ります。
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